2024年5月17日に公開された映画『ミッシング』は、公開直後から驚異的な勢いで話題を集め、今まさに日本中を席巻しています。
主演をを務めるのは、演技派女優として名高い石原さとみ。娘を誘拐された母親役を熱演し、これまでにない深みのある演技で観客を魅了しています。
この記事では、今話題の映画『ミッシング』の魅力をたっぷりとご紹介していきます!
タップできる目次
あらすじ
失踪した娘、美羽は見つかるのか。犯人は誰なのか。結末とその背景。
限りなく哀しくて、愛しくて、優しい物語。
とある街で起きた幼女の失踪事件。
娘が失踪し、出口のない暗闇に突き落とされた家族。
何の手がかりもないまま時間だけが過ぎていく。
娘、美羽の手掛かりがないまま時間だけが過ぎていくことに焦りを募らす母・沙織里。世間の意識が薄れていくことに危機を感じ記者の砂田に縋りつく。
現実的な夫・豊との間に溝が生まれ絶えない夫婦喧嘩。
事件当時、自宅から300mの公園で一緒に遊んでいた沙織里の弟・圭吾はその日だけ自宅まで美羽を送らずに帰宅。
沙織里は二年ぶりの息抜きで推しのライブに行っていたことが明らかになりネットでの誹謗中傷が絶えなくなる。
話は平行線で進む中、圭吾の事件当時の証言に誤りがあったことが発覚し、圭吾が犯人ではないか。と物語は進んでいく。
犯人は弟・圭吾なのか?
圭吾は何故疑われてしまったのか。圭吾は事件当時の取材で「脚立の乗った白い怪しい車」を見たと証言したが、やっぱり見間違いだったとのちにその証言を撤回します。他にも自分の感情を表に出すのが苦手な圭吾は取材でぶっきらぼうな態度を見せ世間からの疑いの目はどんどん厳しくなりました。
圭吾は何故証言を撤回したのでしょうか。圭吾は学生の頃いじめられていたことや車の中に連れ込まれるという誘拐未遂を経験したことから精神的におかしくなってしまい道で急に大声をだしたり不安定な言動が多かったとのちの取材で明らかになります。事件当時圭吾が見たという「脚立の乗った白い怪しい車」は圭吾が幼い頃連れ込まれたというトラウマの記憶だったことがわかりました。
圭吾が取材でぶっきらぼうな態度を取ったのにも理由があり、美羽と別れた後本当は闇カジノに行っていたことが世間にばれるのを恐れていたからでした。
これらのことから圭吾が犯人ではと世間で騒がれるようになりました。
沙織里と圭吾の関係
取材に積極的でない圭吾に対して沙織里はイライラを募らせてるように見えます。姉弟には思えないようなメッセージを送ったり沙織が圭吾の髪を引っ張ったりと一般的な姉弟とは到底思えないようなすれ違いが続きます。
そんな中終盤に車内で沙織里と圭吾が会話するシーンがあり、そこで圭吾は沙織里の前で「美羽に会いたい」と涙します。このシーンがこの映画の見どころでクライマックスなのではないかと思います。
圭吾は幼い頃の誘拐未遂されたトラウマが消えないことから同じ思いをした美羽に人一倍罪悪感を抱いていたんだなと読み取れるシーンでもあります。
犯人は誰なのか
映画内で犯人は明かされていません。
この映画は結末が重要なのではなく、報道の信用の無さ、世間の汚さ冷たさ、そういった背景を見て自分は何を信じて世間と向き合っていくかや、こういった家族が世の中にたくさんいていつ自分に同じことが起こってもおかしくないという現実を改めて実感させてくれるような映画だと感じました。
世間の汚さ
【寄せられた感想の一部】
沙織里のもとに美羽が保護されたとの電話が来ます。それを信じ喜んで警察署に向かった沙織里と豊。でも警察署についてその電話がいたずら電話だったと知り、沙織里はショックのあまりその場で失禁してしまいます。このシーンにはとても胸が痛みました。沙織里の精神状態が限界だということも伺えます。
また、町の掲示板に貼られている美羽のビラに画びょうが張られていました。それも目の所に。
これらのシーンから世間の汚さがよく描かれているなと感じました。
・「世の中、狂っている」というセリフがありましたが、まさに、そのとおりです。ただ、中に、優しい心を持った人も少しは居るのも事実
・夫の涙で、感涙。
・主役の夫婦がすごくリアルで、石原さとみの憔悴ぶりが心に刺さる。
綺麗に可愛く撮られようなんて微塵も感じない。
ただ、自分は完全に旦那さん側の人間なので、彼の気持ちの方が痛いほど理解できてしまう。
・「この子がいなくなるのか…」と思うと、娘がいる母としては、もう涙が出てしまいました。
・母が壁にかかる手の影で娘の落書きを撫でるシーン、父が煙草を吸いながら子供連れを見かけて目を真っ赤にする表情、記者が報道の方向性についての意見をまともに取り合ってくれない上司を恨めしげに見つめる表情、叔父が姪との動画を見ながら嗚咽する姿。
どれもどれも素晴らしかったです。
「missing」スタッフ
主要登場人物/キャスト
沙織里/石原さとみ
豊/青木崇髙
圭吾/森優作
脚本/監督
吉田恵輔
「告白」など数多くの名作を生んでいる。
吉田恵輔(脚本・監督)コメント
本作は自分のキャリアの中で最も覚悟のいる作品になります。
執筆中から何度も手を止めてしまうほど、辛く苦しい現実を描きました。
しかし、どんな状況でも前に進む強さ、他者への想像力や共感。
人間の愚かしくも美しい瞬間を撮影できたら幸いです。
映画「ミッシング」の元ネタは?
82年度カンヌ映画祭グランプリ受賞作品。73年9月南米チリで起きたクーデターの最中、失踪したアメリカ青年の事件をモデルにした作品です。
石原さとみが、監督に出演を懇願した作品。
石原さんは、役作りのために、髪をボディーソープで洗いバサバサにし、トレードマークとも言えるチャームポイントの唇に、リップクリームを塗るのをやめ、くちびるを荒れさせたそうです。
作品内での石原さんは、ぼさぼさの傷んだ髪を一本に束ね 泣くか怒るかが主な感情表現だったように感じ取れました。
石原さとみのコメント
引用:https://www.kinejun.com/article/view/23514
6年前吉田監督に、どんな役でもいいから一緒に仕事をさせてほしいと直談判しに行きました。
そこから数年後、この作品の連絡を頂き、嬉しさのあまり叫びました。
妊娠出産を経て、ついに憧れの吉田組で1年9か月ぶりのお芝居を今しています。
我が子という自分の命よりも大切な存在を知った今、この役柄は本当に辛く苦しく精神が削られました。
まとめ
この映画に綺麗な結末はなくどん底に落ちてもその中で精いっぱい自分の手で生きていかなきゃいけない事や今の世の中がどれ程腐っているかを認識させてくれる映画です。
犯人も明かされないし美羽が誘拐なのかも明かされません。どん底に落ちた人たちの心情やそれを第三者目線から見る世間を描いた物語です。
ハッピーエンドが好きな方やはっきりとした結末が欲しい方には不向きかもしれません。
子供がいる方や感情揺さぶられにくい方にはすごくお勧めです!